船の防御の組み方
戦闘に使う船は、例外なく防御を固めなければなりません。
他のゲームならいざ知らず、EVE Onlineにおいては誰が攻撃を受けてもおかしくないからです。
防御の固め方は、「タンク(tank)」と呼ばれます。他ゲームでは敵の攻撃を引き付けるロールのことを指しますが、このゲームではそんなロールはありません。強いて言うなら全員がタンクです。
とはいえタンクのやり方は一通りではなく、豊富なモジュールも相まって、初心者がよくつまづくポイントになっています。
ここではそれについて詳しく解説していきます。
大まかな分類
タンクは以下の2点で区別されます。
シールド/アーマー/ハル
艦船にはシールド・アーマー・ハル(ストラクチャ・船体とも)の3つの防御区画があり、それぞれに個別のHPが設定されています。
基本的には、最初にダメージを受けてHPが減るのはシールドで、シールドHPがなくなればアーマーHPが、アーマーHPがなくなればハルのHPが減っていき、ハルのHPがなくなれば、その船は破壊されます。
また、3つの防御区画にはそれぞれレジスタンス(レジスト)という「受けたダメージをどれだけ減らすか」というステータスが設定されています。レジスタンスを上げることは、どのタンクにも共通する重要な要素です。
通常、防御用のモジュールは、1つにつき1つの防御区画しか強化できません。そのため、全部の防御区画を強化するのは非常にリソースを必要とします。
なので、3つの防御区画のうち一つだけに集中して防御を固めるのが一般的です。
- シールドに特化すればシールドタンク
- アーマーに特化すればアーマータンク
- ハルに特化すればハルタンク
と呼ばれます。
アクティブ/バッファ
どのタンクにも共通する基本要素は、レジスタンスを上げることです。
そしてタンクにはもう一つの要素が必要ですが、これが2通りあり、
- 攻撃を受けて減ったHPを、随時回復することで耐えるタンクをアクティブタンク
- HPそのものの最大値を増やすことで、攻撃を受けられる時間を長くするタンクをバッファタンク
と呼んで分類します。
これをどの防御区画で行うかによって、「アクティブシールドタンク」や「アーマーバッファタンク」などと呼びます。
なお、「ハルタンク」は基本的に「ハルバッファタンク」のことのみを指します。(後述)
長時間持続して攻撃を耐えられるのはアクティブタンクの方なので、ミッション等PvEに用いる船は基本的にアクティブタンクで組みます。
なお、Logisticsを用意して複数人で戦闘する場合は、基本的にバッファタンクを採用します。
Damage Control
Damage Control(ダメージ制御機。通称「ダメコン」)は、装備するだけで全区画・全属性のレジスタンスを上げるMODです。
通常の各区画特化のレジスタンスMODに比べれば効果は一段落ちますが、全区画のレジスト強化は船全体のHPを大きく上げます。
基本的には、優先的に装備しておきたいMODです。なお、1隻あたり1つまでしか装備できません。
ハルのレジスタンスを強化できるのはこのMODだけであり、アーマーが貫通する可能性のあるアクティブアーマータンクの際には必ず装備しておきましょう。
また、スタッキングペナルティの対象にならない1)という特性があります。
シールドタンク
シールドタンクに必要なMODは、ほとんどがミディアムスロットのMODです。
そのため、ミディアムスロットの多いCaldari/Minmatar艦に向いています。シールドタンクにボーナスを持つのもCaldari/Minmatar艦です。
また、ロースロットの多い船があえてシールドタンクにすることで、空いたロースロットを火力強化に回す、ということもあります。
ただし、アーマータンクに比べてCPUの負荷が大きい2)ので、どの船でもシールドタンクに出来るというわけではありません。
シールドレジスタンスを上げるMODは、アクティブ式のShield Hardener(シールドハードナー)、パッシブ式のShield Resistance Amplifier(シールドレジスタンス増幅器)の2つですが、基本的に使われるのはShield Hardenerの方だけです。3)
Shield Hardenerの方にのみ、全属性対応のものがあります。
Shield Resistance Amplifierは、どうしてもキャパシタ消費を軽減したい場合など、限られた場合にしか用いません。
一部の艦を除き、シールドのEMレジスタンスはデフォルトで0%と非常に低くなっています。
シールドタンクにする場合は、これの対処は優先的にしておきましょう。
アクティブシールドタンク
アクティブシールドタンクの根幹は、シールドを回復させるMOD、“Shield Booster(シールドブースター)“にあります。
Shield Boosterの特徴は以下のとおりです。
- 全力で回復するとキャパシタを大量に消費する。
- サイクルが短く、ON/OFFの切り替えがしやすい。
- 起動するとすぐHPが回復する。
そのため、ダメージを受けたら起動し、回復しきったら一旦止める、という運用が基本になります。
Shield Boosterのサイズ分けは少々難解で、
- MediumがFG/DD用
- LargeがCL/BC用
- X-LargeがBS用
となっています。Small以下を使う意味はありません。
アクティブシールドタンクにする場合、
- Shield Boosterを1つ
- Shield Hardenerを適宜
- 敵の攻撃属性がわかっているなら、それに対応するものを
- 攻撃属性がわからないなら、全属性をバランスよく
- 特にEMは最優先で
- 余裕があればBoost Amplifierを1つ
といった装備が基本になります。Propモジュールに1スロット割り当てるのも忘れずに。
Shield Hardenerを多く装備する余裕がなければ、レジスタンス強化はリグで行うというのもアリです。シールドバッファ向きのリグは多数ありますが、シールドのアクティブ回復を強化するリグはありません。
当然ながら、船のキャパシタが多いほど回復できる量も増えるので、キャパシタ強化も怠らないように。
ただし、アクティブシールドタンクの際にはCapacitor Power Relay(キャパシタパワーリレー)を使ってはいけません。シールド回復量が減って本末転倒な事態になります。
Ancillary Shield Booster
Ancillary Shield Booster(補助シールドブースター。通称「ASB」)はShield Boosterの一種ですが、全く別物と言ってもいいMODです。
- サイクルが短く、ON/OFFの切り替えがしやすい。
- 起動するとすぐHPが回復する。
という点は一緒ですが、
- Cap Booster Charge(キャパシタブースターチャージ。通称「電池」)を装填可能。
- 電池が装填されている時に起動すると、船本体のキャパシタを消費せず、電池だけが消費される。
- なお、電池のサイズによって回復量が変わるということはないので、なるべく小さい電池を使用すると良い。
- 電池が装填されていない時に起動した場合のみ、船本体のキャパシタを(大量に)消費する。
という特性があります。
電池がなくなるとほとんど使い物にならず、更にリロードに60秒と極めて長い時間がかかるため、ミッションなどの長時間継続してダメージを受ける場面で使用するには向きません。
しかし、キャパシタを消費せずに起動できるというのは、PvPでは非常に魅力的なメリットです。
通常のShield Boosterの場合、CLやBCにX-Largeサイズのものを載せることはできても、キャパシタ不足でまともに使うことはできません。しかしASBの場合は、X-Largeであっても電池を詰めてさえおけば使用できるので、通常のアクティブタンクでは不可能な回復力を得られます。
ASBは複数装備できるため、瞬間的に大きな回復力を得ることもできますし、リロード時間をカバーすることができれば長期戦にも耐えられます。
加えて、Neutなどでキャパシタを消し飛ばされることが致命的ではなくなるのも、非常に大きな強みとなります。
シールドバッファタンク
- 機動性が低下しない(アーマーバッファは足が遅くなる)
- ロースロットが空くので火力を向上しやすい
- シグネチャ半径が大きくなる(なので受けるダメージは大きくなりやすい)
- 少しずつ自然回復する(しかしほとんどあてにならない)
という特徴があります。
単体ではほとんど回復しませんが、Logisticsに回復を任せれば十分な回復量が得られます。
このため、インカージョンなどの高難易度PvEフリートはシールドバッファ+Logiで編成される事が多いです。
シールドHPを増やすShield Extender(シールドエクステンダー)は、PGが許す範囲でなるべく大きい物を使用しましょう。
リグのCore Defense Field Extender(コア防衛エクステンダー)もHPを増やす効果があるので優先的に装備しましょう。そのため、レジストはなるべくHardenerで強化する方がいいです。
パッシブシールドタンク
パッシブシールドタンクは、シールドバッファタンクの発展形です。
このゲームにおいて「パッシブタンク」というと、基本的にこのパッシブシールドタンクを指します。
シールドは、キャパシタと同様に時間経過で自然回復していきます。しかし、デフォルトではほとんどあてにならない量しか回復しません。
そこでシールドのHPを増やしつつ、シールドの自然回復速度を速めるMODを装備することで、バッファタンクでありながらアクティブタンク並みの回復量を得ようというのがこのパッシブシールドタンクです。
シールドの自然回復速度を速めるMODは、ミディアムスロットのShield Recharger(シールドリチャージャー)とロースロットのShield Power Relay(シールドパワーリレー)があり、根幹となるのはShield Power Relayの方です。
火力などとの兼ね合いもありますが、なるべくこれを多く装備することで回復力が上がっていきます。
基本的な特性として
- シールドタンクなのにロースロットを防御に使用できる(その分火力は落ちる)
- シールド回復速度にはスタッキングペナルティが発生しないため、スロットを使えば使うほど回復力が増える。
- シールドHPが減るほど回復力が上がる。残りHP25%時に最大となり、それ以下になると回復力は下がっていく。4)
- キャパシタがなくても回復する(ただ、キャパシタがなければHardenerが動かせないため、あまり大きなメリットではない)
- Shield Power Relayの副作用により、キャパシタ回復力が減る。
といったものがあります。そのためパッシブシールドタンクが出来る艦種は限られており、
- シールドレジスタンスボーナスを持つ
- 素の自然回復速度が高い
といった条件を満たしていなければまともなパッシブタンクはできません。
パッシブタンクの代名詞とも言えるDrakeの他、Rattlesnake、Onyxなどがパッシブシールドタンクに向いている船だとされています。
アーマータンク
アーマータンクに必要なMODは、全てロースロットを使用します。
そのため、ロースロットの多いAmarr/Gallente艦が主に使用します。アーマータンクにボーナスを持つのもAmarr/Gallente艦です。
シールドタンクとは違い、ミディアムスロットのほうが多い艦があえてアーマータンクにすることは少なく、BlackbirdなどのECM艦がアーマータンクを採用することがある程度です。
シールドタンクに比べ、アーマータンクに使うMODは種類が豊富で、CPU/PGなどに応じた調整がしやすい傾向にあります。
特にレジスタンスMODは、アクティブ式のArmor Hardener(アーマーハードナー)、パッシブ式のEnergized Armor Resistance Membrane(電磁加工プレート)、パッシブかつCPUを使わないArmor Resistance Coating(レジスタンスプレート)の3種類から選べます。
シールドとは逆で、アクティブ式に全属性対応のものがなく、パッシブにのみ全属性対応のものがあります。
また、シールドタンクよりもCPUの消費は少なく、逆にPGをより多く使う傾向にあります。
Reactive Armor Hardener
アクティブ式ハードナーに全属性対応のものがない、と書きましたがリアクティブアーマーハードナーは例外で、起動した時点では全属性15%軽減のハードナーとして機能します。
その後、1サイクルごとに、そのサイクル中にアーマーが受けたダメージ量を基準に、そのダメージを最小化するようにレジスタンス値が変動します。
通常のアーマーハードナーよりもキャパシタ消費が激しいものの、CPU負荷が軽いという特徴があります。
レジスタンス修正値総量は60%と高いですが、Damage Controlとの間でスタッキングペナルティが発生する5)という特殊な仕様に注意が必要です。
また、1隻1基までの装備制限があります。
基本的にはPvP用の装備ですが、キャパシタ消費を許容できるのであればPvEに使用することも可能でしょう。
詳細な動作については専用ページに記載します。
アクティブアーマータンク
アクティブアーマータンクは、Armor Repairer(アーマーリペアラ)を使用してアーマーHPを回復させるタンクです。
Armor Repairerの特性は
- キャパシタ消費は(Shield Boosterに比べて)少なめ。
- 回復量も(Shield Boosterに比べて)少なめ。
- サイクルが長い。
- 起動直後ではなく、サイクル終了時にHPが回復する。
となっています。
そのため、アクティブシールドタンクとは違い、アクティブアーマータンクにおいてはArmor Repairerを常時起動していることが前提となります。
基本構成は
- Armor Repairerを1つ
- 全属性対応のEnergized Armor Resistance Membraneを1つ
- Armor Hardenerを適宜
- 敵の攻撃属性がわかっているなら、それに対応するものを
- 攻撃属性がわからないなら、全属性をバランスよく
- キャパシタ消費を減らしたければEnergized Armor Resistance Membraneに、CPUが足りなければArmor Resistance Coatingに格下げするのも良い
といった感じです。
より大きい艦種になってくると、火力に比べて回復力が見劣りするようになってきます。
そういう場合は、Armor Repairerをもう一つ搭載するDual Rep、さらにもう一つ追加するTriple Repなどを採用することがあります。
また、アクティブシールドタンクとは違い、アーマーにはアクティブ回復を強化するリグがあります。
Auxiliary Nano Pump(補助ナノポンプ)とNanobot Accelerator(ナノボットアクセラレーター)がそれですが、後者はサイクルを加速する分キャパシタ消費が重くなるので、Auxiliary Nano Pumpの方がよく使われる傾向にあります。
Ancillary Armor Repairer
Armor Repairerによく似たMODですが、Nanite Repair Paste(ナノリペアペースト)というアイテムを装填することができます。
これを装填して起動すると、Nanite Repair Pasteを消費して、通常のArmor Repairerより多くのHPを回復することができます。
Nanite Repair Pasteが入っていない状態では、通常のArmor Repairerより回復量は少ないです。
なお、ASBとは違い、起動時にキャパシタは必要です。また、1隻あたり1つまでの装備制限があります。
使い続けると回復量が下がるため、基本的にはミッションには向きません。
Dual/Triple Rep時に併用するのが主な使われ方になっています。
アーマーバッファタンク
アーマーバッファタンクは、シールドバッファタンクとは違い自然回復は全くしないため、ほぼPvP専用のFitとなります。
Armor Plate(アーマープレート)でHPを上げることが基本となりますが、これの副作用として船の最高速と加速性が悪化します。
そのため、機動性を重視するようなフリートにはなかなか採用されづらい傾向にあります。
シールドとは違い、アーマーHPはLayered Energized Membrane(電磁加工アーマー積層装甲)、Layered Coating(積層加工プレート)で乗算増加させることができます。
サブキャピタルではArmor Plateの方が効果が大きいのであまり採用されませんが、キャピタル艦では選択肢の1つとなります。
リグはTrimark Armor Pump(トライマークアーマーポンプ)ほぼ一択となります。
ハルタンク
ハルタンクは、アーマータンクと同様にロースロットを使用します。
しかし、Armor Repairerとは違いHull Repairer(船体リペアラ)はゴミカス性能のため、戦闘中に用いることは非現実的です。
そのため、アクティブハルタンクというものは存在しません。ハルタンクというと、基本的にはハルバッファタンクのことを指します。
バッファタンクなので、当然PvP用です。
ハルのレジスタンスを上げるMODはDamage Controlしかありません。しかし、T2のDamage Controlを装備した状態でのハルレジスタンスは全属性60%になります。
シールドもアーマーも、MOD1つだけではここまでレジスタンスを上げることはできません。そのため、スロット数が少なくシールド・アーマーのレジストを十分に上げられないFG/DDでは、ハルタンクは十分に選択肢の一つになります。
ハルのHPを上げるリグ、Transverse Bulkhead(横隔壁)の副作用がカーゴホールドの縮小で、戦闘にほとんど影響しないものになっているのもメリットです。6)
これにArmor Repairを併用してより多くのダメージを受けられるようにする、という手法もよく見られます。
より大型の船だと、ロースロットのMOD、Reinforced Bulkheads(追加隔壁)を使用して更にHPを上げることが一般的です。
こうなると「スロット数が少なく済む」というメリットはなくなりますが、今度は「HPを上げるのにPGを使用しない」というのがメリットとなります。
そのため、ハルタンクにすることで、アーマータンクよりも大口径のタレットを装備でき、アーマータンクよりも高い火力を得ることが期待できます。
また、アーマータンクとは違って「最高速度が下がらない」というのもメリットになります。
デメリットはReinforced Bulkheadsによる機動性の低下(最高速度は低下しないが、挙動が少し重くなる)と、Transverse BulkheadとReinforced Bulkheadsの両方のデメリットであるカーゴホールドの縮小です。
通常、このデメリットはPVPにおいては大したデメリットではありませんが、カーゴ一杯に電池を積んで戦うようなfitの場合、稼働時間が大幅に落ちる事に注意が必要です。