オーバーロード
オーバーロード(もしくはオーバーヒート)とは、多くのアクティブモジュールに付随している機能で、一時的にそのモジュールを大幅に強化するものです。
しかし、オーバーロードはモジュールを痛めます。オーバーロードを使用しすぎるとそのモジュールは壊れて機能停止してしまう、というリスクがあります。
モジュールを潰すことなく有効にオーバーロード性能を引き出すにはテクニックが必要です。オーバーロードの管理は、主にPvPにおいては必須とも言えるでしょう。
もちろん、うまく使えばPvEでも有効なのは言うまでもありません。
用語
ラック | Rack。その船のスロットを各パワーごとにひとまとめにしたもの。 ハイパワーラック、ミディアムパワーラックなどというが、オーバーロード関係以外でこの用語を使うことはほとんどない。 |
---|---|
ヒートダメージ | モジュールをオーバーロードさせたときに、モジュールに伝わるダメージのこと。 熱ダメージともいうが、攻撃の4属性の熱(Thermal)ダメージと混同しないようここでは「ヒートダメージ」で統一する。 |
燃える | ヒートダメージによってモジュールがオフライン化すること。「燃え尽きる」ともいう。 また、モジュールをオーバーロードすること自体を「燃やす」といったりもする。 |
使い方
モジュールをオーバーロードするためには、スキル“Thermodynamics”(熱力学)が必要です。
オーバーロードに対応しているモジュールは、HUD上のモジュールアイコンの上部が緑色になっています。ここをクリックすることでモジュールをオーバーロードできます。オーバーロード中はその緑色部分が光ります。
また、HUDとモジュールアイコンの間にある小さいボタンから、各ラックごとにまとめてオーバーロードのON/OFFができます。
オーバーロードがONになっていても、そのモジュールが動いていない(サイクルが回っていない)場合、モジュールにダメージを与えるなどのデメリット効果も発生しません。
このようにモジュールをオーバーロード状態で待機させることを俗に“Pre-Overload”(プリオーバーロード)と呼んだりします。ASBやAARなど、起動する回数が限られ頻繁にON/OFFするモジュールの基本テクニックになります。
オーバーロードして動かしているモジュールは、同じラックのモジュールにダメージを与えます。
モジュールアイコンの周囲の赤い部分はダメージの蓄積具合を示します。これが一周分溜まると、そのモジュールはオフライン化し機能停止します。
HUDのHPメーターとキャパシタメーターの間にあるのは、各ラックの熱蓄積率メーターです。
オーバーロードしているモジュールがあるラックはこのメーターがどんどん上昇していきます。このメーターが高くなっているほど、そのラックにあるモジュールはヒートダメージを受けやすくなります。
効果
効果はモジュールによって様々ですが、速力が上がる、射程が伸びる、強度が上がる、サイクル時間が短くなるなど、全てそのモジュールのメイン機能を純粋に強化するものです。
最終的に燃え尽きて使えなくなること、サイクル時間が短くなるものはキャパシタ消費も激しくなることを除き、デメリット効果はありません。
また、オーバーロードによるモジュールの強化度合いは、モジュールのグレードによる差がなく一定です。
ただし、重トラやCombat Inty、T3CLの一部サブシステムのように、特定のモジュールに対するオーバーロード効果にボーナスを持つ艦船はあります。
また、特殊天体「Red Giant」を持つWHでは、全てのオーバーロード効果が底上げされます。
オーバーロードによる効果はスキルではあまり変化しませんが、ThermodynamicsスキルやT3艦船のボーナスによって熱ダメージを抑えることで、オーバーロード状態を長く維持することはできます。
Point
詳しくは後述の「仕様」で説明しています。
- オーバーロードしているモジュールの数が同じなら、小型艦ほど熱が溜まりやすく、モジュールが燃え尽きやすい。
- 大型艦は小型艦に比べて、オーバーロードしているモジュール以外まで燃えてしまう確率が高い。
- AB/MWDは他のモジュールに比べて非常に燃えやすい。
- オーバーロード中のモジュールへのダメージの入り方は一定ではない。連続してオーバーロードしていると、途中から急速にダメージが入るようになる。
- オーバーロードはなるべく間欠使用して、ラックに熱を溜めないようにすればモジュールが長持ちする。
- 空きスロット/オフラインモジュールがあると、船全体でモジュールが若干燃えにくくなる。
- スロット合計数の少ない小型艦ほど、空きを作ることの効果は大きい。
- ミッド/ローに空きを作るのはデメリットが大きいが、ユーティリティハイを空ける程度なら十分選択肢に入る。
- 軽量タックラーなら、ハイスロットを全部空けるという選択肢もある。
- オーバーロードするモジュール同士は、装備画面上1)でなるべく離して配置する。
- タレット/ランチャーは端から順に詰めるのではなく、真ん中あたりに別モジュールや空きを挟むと良い。
仕様
熱蓄積について
- モジュールをオーバーロードして使用すると、船体に熱が蓄積する。
- 熱が多く蓄積しているほどモジュールにダメージが入りやすくなるが、蓄積した熱自体がモジュールにダメージを与えているわけではない。
- 熱の蓄積部位はハイ/ミッド/ローの3区画(ラック)に分かれている。ハイスロットのモジュールをオーバーロードすればハイのラックに、ミッドならミッドのラックに熱が蓄積する。
- ハイからミッド、ミッドからローのように、別のラックに熱が伝播することはない。
- モジュールをオーバーロードして動かしている間、モジュールは熱をラックに蓄積させ続ける。
- 「サイクルの開始時」や「サイクルの終了時」ではなく、サイクルが回っている間、毎秒溜まり続ける
- 蓄積する熱量は、「それがAB/MWDであるか」「T2モジュールかそうでないか」によって変わる2)。サイズによる違いはない。
- AB/MWDは、T1/T2の区別なく大量の熱を生み出す。MWDが燃え尽きやすい原因1つ目。
- T2MODは、その他T1やFacMODなどに比べて多くの熱を発生させるため、燃え尽きやすい。
- 船体が大きいほど、ラックに熱が蓄積しにくくなる補正がかかる3)。
- つまり、小型艦は大型艦に比べて熱が蓄積しやすく、燃え尽きやすい。
- 適正サイズのモジュールもオーバーサイズのモジュールも、オーバーロード時の熱放出量は変わらない。
- ラックの熱蓄積率は、時間経過で減少していく。
- 1秒間に低下する熱量は、船のサイズに関係なく、ラックの熱蓄積率が高いほど大きい。
- ドック中でも、熱蓄積率の減少には出港中と同じ時間を要する。
- ラックの熱蓄積率は、ドックインしたり修理したりすることで即座に解消される、ということはない。
計算式
1秒間にラックに蓄積する熱量(%)=(100-現在の熱蓄積率(%))/100*(ラック内のオーバーロード中のモジュールのHeat Absorption Rate Modifierの総和*Heat Generation Multiplier)
1秒間にラックから放散される熱量(%)=現在の熱蓄積率(%)*0.01
Heat Absorption Rate Modifier4) | |
---|---|
AB/MWD | 4%/sec |
ほとんどのT2MOD | 2%/sec |
T2でないMOD | 1%/sec |
ヒートダメージ
- オーバーロードしているモジュールのサイクル終了時に、そのモジュールがヒートダメージを与えるかどうかの判定が行われる。
- オーバーロードしているモジュールは、それ自身と、同じラックにあるモジュールにヒートダメージを与える。
- ダメージが入るかどうかは確率によって決まるので、同じ条件でもダメージが入ったり入らなかったりする。
- タレット/ランチャーをグループ化している場合、同じグループ内のモジュールに対するヒートダメージが平均化される。
- 一度に入るダメージ量は、ダメージ源となるモジュールのパラメータ「ヒートダメージ」によって決まるが、これはスキルやボーナスなどで軽減できる。
- 逆に、WHエフェクト「Red Giant」では、ヒートダメージが増加するペナルティがある。
- ヒートダメージは、大型モジュールほど小さく、小型モジュールほど大きい。
- つまり、オーバーサイズモジュールは適正サイズモジュールより燃えにくく、周囲のモジュールに与える影響も小さい。
- また、サイクルが短いほどヒートダメージも小さい。
- 単位時間あたりのヒートダメージ量はモジュールの種類による差があまりないが、MWDは単位時間あたりのヒートダメージ量も多い。MWDが燃えやすい原因2つ目。
- モジュールのHPは、一部の特殊なモジュールを除いて一律40HPとなっていて、サイズ等による違いはない。
- モジュールのヒートダメージがモジュールのHPを上回った場合、そのモジュールは強制的にオフライン化する。
- モジュールが燃え尽きたとしても、そのモジュール自体が失われたりするわけではない。
- モジュールに蓄積したヒートダメージの解消方法
- ステーション内での修理
- 建造物からのテザーによる自動修理
- 燃え尽きてしまった場合、完全に修理が完了するまでは再オンライン化できない。
- Nano Repair Paste
- 燃え尽きた場合はナノペーストでの修理はできない。
- スキルによって、修理に要するペースト量を軽減できたり、修理に要する時間を短縮できたりする。
ヒートダメージが入る確率
ヒートダメージが入る確率=ラックの熱蓄積率*(オンラインモジュールの合計数/リグを含めた全スロット数)*ラックの熱拡散率^オーバーロードモジュールからの距離
- ラック内の熱蓄積率が高いほど、ヒートダメージを受ける確率は上がる。
- 空きスロットやオフラインのモジュールが多いほど、ヒートダメージを受ける確率は下がる。
- 「ラックの熱拡散率」は、そのラックにスロットがいくつあるかに依存する。
- ラック内のスロットが少ないほど、隣接モジュールにヒートダメージを与える確率は下がる。
- オーバーロードしているモジュールとのラック内での距離が近いほどダメージを受けやすい。
- 確率上は、オーバーロードしているモジュールが一番燃えやすい。
- ラック内のスロットが多いほど、隣接モジュールがダメージを受ける確率はオーバーロードしているモジュールのそれに近づいていく。
- ヒートダメージが自身だけでなく周囲にも及ぶ都合上、複数のモジュールをオーバーロードするのならばなるべく離して配置したほうが良い。
スロット数 | ラックの熱拡散率 |
---|---|
1 | 0 |
2 | 0.25 |
3 | 0.5 |
4 | 0.63 |
5 | 0.707 |
6 | 0.758 |
7 | 0.794 |
8 | 0.82 |
計算例
- Enyo(スロット構成 5/3/4, リグスロット2)
- うちハイスロットに空き1つ、それ以外は全てオンライン
- ミディアムラックの熱蓄積率60%
- Warp Scramblerをミッドスロットの一番上に配置、オーバーロード中
Scram自身がダメージを受ける確率 = 0.6*(4+3+4)/(5+3+4+2)*0.5^0 = 0.471 = 47.1%
Mid2段目のモジュールのダメージ確率 = 0.6*(4+3+4)/(5+3+4+2)*0.5^1 = 0.236 = 23.6%
Mid3段目のモジュールのダメージ確率 = 0.6*(4+3+4)/(5+3+4+2)*0.5^2 = 0.118 = 11.8%