現実でもそうであるように、EVEにおける艦船も「足の速さ」は非常に重要です。
足の遅い船は、戦いの主導権を握ることが出来ません。敵との距離を有効射程内に維持する事も、不利と感じた時に逃げることも、より足の速い船にのみできることです。
更に、EVEにおいては「足が速ければ敵の攻撃を回避できる」という仕様もあります。とにかく速度は重要です。
要点を簡単にいえば、どんな船でもABかMWDは積んどけということです。
ここでは、それぞれの特徴及び使い分けの仕方、あとはそれ以外の推進補助系MODの解説をしていきます。
アフターバーナー。通称「AB」。
起動することで最高速が約2倍になるMOD。起動に際してキャパシタを消費します。
単純に速度が2倍になると言えるので、敵の攻撃への回避率が上がり、結果的に防御能力の向上に寄与します。
また、後述するMWDとは違い簡単に止められることがないため、10km以内の接近戦に向いています。
1MN1)、10MN、100MN、10000MNといった具合でサイズ分けされており、それぞれ
に適したサイズとなります。
船体に対してより小さいサイズのABを装備しても、ほとんど加速は出来ません。そんなFitはやめましょう。
逆に船体に対してより大きいサイズのABを装備することは、PG等のリソースの問題があり難しいです。しかし、その辺りの問題を解決しうまく装備させることが出来たのなら、MWDに匹敵する最高速度を得られます。ただし最高速度に達するまではかなり時間がかかり、また極端に曲がりにくくなります。
起動時の副作用として船の質量が増加するため、ABを起動していると起動していない時に比べ、最高速に到達するまでの時間が伸びます。また、ワープ時に消費するキャパシタ量も増加します。
最高速に到達する時間が伸びるということは、ワープインまでの時間も長くなるということです。ワープする際にはABを切るようにしましょう。
マイクロワープドライブ。通称「MWD」。
起動することで最高速が約6倍になるMOD。ABよりも加速力が大きいぶん、起動に必要なキャパシタ量も大きいです。
また、ABと微妙に異なり、5MN、50MN、500MN、50000MNとサイズ分けされていますが、数字が5倍になってるだけで対象は同じものを指しています。
MWDは劇的な加速力を得ることが出来ますが、副作用も大きいです。
1つ目はABと同様の質量増加。起動時は最高速に到達するまでの時間が伸び、ワープに必要なキャパシタ量が増加します。
なお、同サイズであれば増加する質量はABと同じです。
2つ目はシグネチャ半径の拡大。起動時はシグネチャ半径も約6倍になるため、回避率を上げるという意味での防御力の向上は起きません。2)
ただしIntyやHACはこの副作用を軽減するボーナスを持っているため、これらの艦に装備したMWDはABと同様、回避率の上昇に寄与します。
3つ目はキャパシタ容量の減少。MWDを装備した艦は、たとえそれを起動していなくても、永続的にキャパシタ容量の上限が減少したままになります。
このため、MWDを装備した艦はキャパシタ安定のFitにすることが難しくなります。
また、副作用とは少し違いますが、MWDにはWarp Scramblerを受けると起動できなくなるという特性があります。3)
総合的に見てPvEには向かず、どちらかと言うとPvP用のMODであると言えます。
MWDを装備してPvEができるのはHACくらいです。
MWDは「加速力が高く距離を詰めやすい」が「回避には使用できず」、「敵に接近すると使えなくなる可能性がある」という特性上、「相対的に遅く、主導権を握りにくい」が「敵に近くても起動でき」「回避力も上がるため接近戦に強い」ABと併用されることもあります。
MWDで接近し、近づいたらABに切り替えるという戦術及びFitは一般的にDualPropと呼ばれ、接近戦志向の船がこれをやることは少なくありません。特にDualProp仕様のSFIはよく知られています。
マイクロジャンプドライブ。通称「MJD」。
起動することで100kmの瞬間移動を行うMOD。ABやMWDとは異なり、船の速度自体を変化させるわけではありません。
MJDには、戦艦クラスのみが装備できる「Large MicroJumpDrive」と、巡洋戦艦と深宇宙用輸送艦のみが装備できる「Medium MicroJumpDrive」の2種類が存在します。
使用時の挙動を詳しく説明すると、
と言った流れになります。瞬間移動の前後で船の速度は変化しません。
MJDは一度使うと3分間は再度使用できないという制限がついています。また、複数装備することも出来ません。
Maraudersはシップボーナスにより、MJDの再起動制限が1分弱まで短縮されています。
なお、MWDと同様Warp Scramblerを受けると起動できなくなります。
また、上記の通り起動してから実際に瞬間移動するまでには若干のタイムラグがあります。この間にScramを受けると、「瞬間移動は作動しなかったのに3分間の再起動制限だけ受ける」という状態になります。
瞬間的に距離を大きく離せるという特性のため長射程艦と相性が良く、特にセントリードローンを用いるDominixとの相性は抜群に良いです。
また、Scramでないと止められないという特性から、PvP環境においては逆に敵に接近戦を強いる手段にもなります。
マイクロジャンプフィールドジェネレーター。長いので「MJFG」と略します。「Boosh」と呼ばれることが多いです。
指揮型駆逐艦の専用装備。
起動すると船の周囲に青いエフェクトが発生し、サイクル終了と同時に、発動艦及び発動艦を中心に6000m以内にある艦船等が針路・速力を維持したまま100km先に瞬間移動します。
この瞬間移動の方向は発動艦の艦首方向で、周囲にある艦船等も同じ方向に引っ張られていきます。
ただし何もかも飛んで行くわけではなく、
というようになっています。
なお、これは敵味方を区別せず無差別に巻き込みます。
そのためか、MJFGはHighsecでは起動できません。また、LowsecにおいてはセーフティをRedにしておかなければ起動できません4)。
また、MJDと同様、Warp Scramblerを受けているときも起動できません。起動後にScramを受けると3分間の再起動制限だけ受けるという点も同じです。
MJDとは違い、MJFGを発動すると60秒間の兵器タイマーが発動します。そのため、これの使用後すぐはゲートジャンプしたり入港したりできません。
このMODの実装がPvP環境を大きく変えました。
思いつくだけでも、
といった使い方ができます。
また、アイデア次第では更に面白い使い方ができるでしょう。
オーバードライブ。船の最高速を上げるMOD。
装備するのにCPUやPGをほとんど消費しない代わりに、装備するとカーゴホールドの容量が減少します。
カーゴ減少というデメリットはPvP等をする上でほとんど無視できるものなので、有用性は高いです。
しかし、後述するNanofiber Structureの方が総合的に優秀なため、あまり使われることはありません。
最高速度の上昇幅はNanofiberよりも大きいため、より速度が欲しい場合はこちらが用いられます。
慣性制御装置。船の加速性を上げるMOD。
Overdriveと同様、装備するのにCPUとPGをほとんど消費しません。ただし、副作用として船のシグネチャ半径が増加します。
加速性の増加の恩恵を一番大きく受けるのは、「静止時からワープまでの時間の短縮」にあります。このため、これを装備すれば何十ジャンプもするような長距離移動がより短い時間で行えるようになります。
最高速は増加しないため、装備することでシグネチャ半径の増加により戦闘時の回避率はむしろ低下します。また、シグネチャ半径の増加は被ロックオン時間の短縮にもつながるため、ワープまでの時間が短縮されるとはいえゲートキャンプ等の突破には向きません。
総合的に見てフレイターと相性が良く、後述するワープ加速器を導入しない場合はこちらを使うのが良いでしょう。
ワープ加速器。文字通りワープ速度を増加させるMODです。
ただし増加速度は0.2~0.3AU/sと小さいため、もともとワープ速度の遅いキャピタル艦、特にフレイターの事実上の専用MODとなります。
ワープ速度が高いと「ワープに入ってから最高速に達するまでの時間」も短縮されるため、フレイターに装備した場合ワープ時間を大幅に短縮できます。
移動時間の短縮という点ではInertia Stabilizerよりも効果的ですが、BPOが存在しないMODのため供給量が少なく、全体的に高価になっています。
ジャンプドライブエコノマイザー。ジャンプドライブの燃料消費を軽減するMOD。Rorqual及びJFのみが装備できます。
ジャンプドライブ燃料はJF等の輸送費用に直結するため、定期的に輸送に従事するJFにとっては非常に有用なMODです。
しかしこれもWarp Acceleratorと同様にBPOが存在しないため、高価なMODとなっています。
ワープコア制御装置。ワープジャマーへの耐性を付与するMOD。
これを起動することで、ワープ妨害強度が2軽減されます。
つまり、Warp Disruptorなら2つまで、Warp Scramblerなら1つ受けている状態でもワープが出来ます。
ただし、範囲型ワープ妨害には無力です。また、Warp ScramblerによるMWD/MJDの起動阻害は防げません。
一旦起動すると、そのサイクル終了後に長いクールタイムが発生するため、連続で使用できません。また、1隻に複数装備することもできません。
その代わり、ゲートジャンプ後の自動クローク中でも起動できて、起動によりクロークが解けるということもありません。
デメリットとして、起動せずともオンラインにしているだけでドローン帯域・ロックオン速度・最大ターゲット範囲が半減します。その他戦闘への寄与は一切無いため、基本的に輸送艦など非戦闘艦用のMODとなります。
インターディクション無効化。バブル無効特性を得られるMOD。
Warp Core Stabilizerに似たモジュールで、こちらは起動している間バブル無効特性を得られます。バブルを突破できる代わりに、通常のワープジャマーに対しては無力です。
クールタイムがあり連続使用できない点、複数装備できない点、自動クローク中に使用できる点、オンラインにしているだけでデメリットを負うという点がWarp Core Stabilizerと同じです。
得られる特性が違うという点以外では、あちらがロースロット装備であるのに対してこちらはハイスロット装備、そして装備できる艦種に制限があるという点が大きな違いとなります。
詳しい説明はInterdiction Nullifierにて。
ナノファイバー内部構造。分類はArmor系MODですが、装備することで船の最高速と加速性の両方を向上させるMODです。
なお、このゲームで「Nano」というと基本的にこのNanofiber Internal Structureのことを指します。
個々の修正値はOverdriveやInertia Stabilizerより若干低いですが、最高速と機動性の両方を1つのMODで向上できることは大きなメリットと言えます。
装備するとストラクチャのHPが減少しますが、もともとストラクチャの防御は特化しない限りほとんど期待できないものなので、際立ったデメリットとはなりません。
ロースロットの推進力強化MODとしては、総合的に見て最も使いやすいMODと言えます。