WHはその出入り口が不定であるという性質上、LowやNullで起こるような、PvPを企図したフリート同士の遭遇戦というものはなかなか発生しません。
よく起こる戦闘は大きく2パターンに分けることができ、一つは「ラッティングや採掘等をしている非PvP艦に対する襲撃」、もう一つは「建造物の破壊を企図した侵攻」です。
ここでは後者の「建造物の破壊を企図した侵攻」について、如何にして防衛するかを解説していきます。
WH内の建造物を攻撃する際、単純に嫌がらせなどの場合もありますが、多くの場合、入植して金策拠点にするなどのために現在の住民を排除すること(Eviction)、あるいは貯め込んだ資産を奪取することが目的となっています。
であれば、侵攻する側としてはLow/Nullのローミングフリートのように「戦闘すること」自体を目的としているわけではないため、確実に建造物を破壊することを第一目標として行動するのが普通です。
WH侵攻の基本的な流れは以下のようになります。
WH防衛とはつまるところ、これらを如何にして阻止していくかということになります。
コープやアライアンスの戦力を測る第一の指標は何と言ってもキルボードなので、これが良好に保たれている、すなわちキルが多くロスが少なくなっていればそれだけの戦闘力を持っていると判断され、侵攻の標的にされる可能性がある程度抑えられます。
逆に、普段から金策中の襲撃を察知あるいは対処できずロスばかり積み重ねていると、侵攻される危険性は跳ね上がります。
WH内での生産活動を金策の主軸とするのは避けたほうが良いです。生産で稼ぐには多量の資材が必要になり、また効率を求めるとEngineering ComplexやRefineryが必要になります。
それらが設置されているということ自体が、侵攻側からすれば狙い目に見えます。特にTataraやAzbel等の設置は侵攻リスクを跳ね上げます。
特に必要がないなら設置するのはAstrahusのみとしましょう。もしC4以下でFortizarを設置するなら、下記の通りキャピタル艦を建造し保有しておきましょう。
戦時平時問わず、WH外から大量の物資を一気に補給することは基本的に難しいです。特に質量の大きいBSクラスの大型艦は短時間で多数搬入することが困難なので、防衛戦力としてBSクラスを使用するドクトリンを制定している場合は平時から搬入・整備しておく必要があります。
進入ルートとなるWHの質量限界の観点から、防衛の際にパイロットのみを招集し内部に保有している艦船のみで戦うという選択肢を取らざるを得ないかもしれません。DPSのみならず、Logiやタックラーなどのサポート艦も整備しておく必要もあるでしょう。
Fortizar以上の建造物を保有している場合、侵攻側もそれなりの戦力を投入してくることが予想されるので、キャピタル艦を整備することも重要です。適切にFitされたBS艦隊がFAX数隻の支援を受ければサブキャピタル艦隊で突破することは困難になり、DNがあれば侵攻側の建造物を排除することが容易になります。C5以上であれば外部からキャピタル艦を持ち込めるので、防衛側もそれに対抗できるよう多数のDNを保持しておく必要があるのは言うまでもありません。
短時間に多数の大型艦船をWH内に進入させられないのは侵攻側も同じであり、ある程度大規模なフリートを動員するならば侵攻側も集結地点としての建造物が必要になります。
建造物の設置完了にはある程度時間が必要であるため、設置を早期に察知し建造物が脆弱なうちに破壊して侵攻の意図を挫くことができるよう、平時から敵性建造物が設置されていないかWH内を哨戒しておく必要があります。
自分たちが保有する建造物を撃たれてから初めて侵攻に気づくのでは遅いです。
また、敵勢力によるホールコントロールが始まると、外部からの進入は非常に困難になります。
そのため、これに対処できるのはWH内にいる人員のみとなります。敵のホールコントロールを阻止し、WH外部からの増援を呼び込むことができなければ、防衛はまず失敗します。
WHでの戦闘では、スカウトキャラが多数必要になります。これは戦時になってから確保できるものではありません。
WH内のシグネチャ監視、穴監視による侵入者の察知、進入経路の確保、敵勢力の動向の把握など出番は多岐に及びます。いればいるほど役に立ちます。
WHはローカルリストが機能しないという仕様上、敵の情報を集めるにはスカウトを活用するしかありません。
ホールコントロールとは、「自分たちだけがそのWHへの進入経路を知っていて、敵は進入経路を知らない状態にする」ことです。
こうすることで、自分たちは自由に増援を呼び込むことができ、敵は増援を呼び込めなくなります。外にどれだけ味方がいようと、進入経路がわからなければどうにもなりません。
また、進入経路がわからないということは脱出経路がわからないということでもあり、防衛側からしてみれば高額資産の持ち出しもできないということになります。
これを実現するには以下の手順を取ります。
ホールコントロールを阻止する手段は単純に、WH内にいる戦力で固定穴付近の制空権を奪い、穴つぶしを阻止し、進入経路を探索し確保するということになります。1)
逆に言うならば、固定穴の制空権を奪う事ができない場合、ホールコントロールを阻止することはできません。こちらは増援を呼べないまま、敵には増援を呼び込まれ続け、そのまま負けます。
つまり、どちらかがホールコントロールを維持し続けていれば、ホールコントロールされている側の勝ち目は限りなく薄くなります。
先述の通り、侵攻側が建造物の排除を第一目標として行動している場合、まずこのホールコントロールを維持しようとするのが普通です。上述の「十分な戦力をWH内に貯蔵する」「常に一定以上のパイロットを常駐させる」「スカウトキャラを多数育成する」はいずれもホールコントロールされることを阻止するための対策です。
端的に言えば、ホールコントロールを阻止すること、阻止できることがWH防衛の可否を左右するということです。
ホールコントロールという概念は、外部の影響を遮断し、侵略側の優位を維持して目標の達成を確実にするものです。
もちろん、ホールコントロールと言っても常に必ず封鎖されているとは限らず、リインフォース明け前の短時間だけ行われる場合もあります。しかし、最悪の場合では24時間体制でホールコントロールを行うこともありえます。こうなると防衛側に打つ手はありません。
先述の内容と矛盾しますが、金策拠点としてのWHに多数のキャラクターを常駐させるというのは実は難しいです。
なぜなら、WHの主要金策源であるアノマリーは発生する数が限られており、常駐人数が増えても収入が増えるとは限らないからです。PIも、キャラクターが増えれば資源の枯渇も早くなります。
となると、防衛を見越してキャラを置くにしても、それは金策への寄与がしにくい防衛専用キャラになりがちです。そのような余裕がある勢力も多くはないでしょう。
これらの要因から、侵攻側の規模とやる気によりますが、侵攻が始まった時点で防衛側にはどうすることもできない、ということは普通にありえます。
したがって、侵攻の対象にならないようにすることが最も有効な対策となります。
つまり、上記の対策のうち上2つ、「キルボードを良好に保つ」すなわち「PvP意識を持つ」ことと「必要以上の建造物を設置しない」こと、この2つが最大の対策となります。